6月1日
映画館で視聴
ネタバレあり
SEとBGMも迫力があって演出も派手なものが多かったから劇場で見てよかった。
画角のこだわりがすごくてCGかと思うくらいほとんどの物の輪郭が消失点に向かって行くようなシーンが多くてすごかった。
あらすじ
オスカーを取りハリウッドのウォーク・オブ・フェイムで星形のプレートに名前を刻むほどの活躍をしたエリザベスだったが年を取るにつれ人々から忘れされていき、現在では朝のフィットネス番組を務めるだけになっていた。50歳の誕生日に自身の番組が終わることを知ったエリザベスは失意の中で理想の自分になれるという違法薬物の「サブスタンス」に手を出してしまう。サブスタンスを使用したエリザベスの体から細胞分裂して若く美しい女性のスーが産まれる。1週間ごとにスーとエリザベスを交代するという絶対的なルールがあったが、スーの若い体での生活から戻りたくなくなり次第にルールを破り始める。
感想
始めに主人公のエリザベスが成功して次第に人々に興味を持たれなくなっていく様をハリウッドの床に埋められているスターのプレートの定点で表現していてシンプルでわかりやすい上に印象的なシーンだった。最初はみんな目当てで見に来て次第についでに見るような感じなって子供が「この人誰?」って聞いて親がすぐ出演作を答えられなくなったり、最後には急いでる男性がハンバーガーをぶちまけて仕方なく掃除するシーンで完全に忘れ去られたって言うのが痛々しいほど伝わってきた。シーンが進むにつれてスターにヒビが入っていくのもつらかった。
現在のエリザベスのシーンになってエアロビクスのテレビ番組に出演していて動き的にもターゲットの年齢層もちょっと高めなのが伝わるような演出だった。最後投げキスをして周りのスタッフにも優しく接していてスターのおごりみたいなのもなくて好印象だった。その後掃除中だったため仕方なく男性用のトイレに入って用を足しているとプロデューサーが入ってきて年齢を原因として番組を打ち切って若い女の子をメインに新しい番組を作ろうとしてる電話の内容を聞いて落ち込んでいるエリザベスが可哀そうだった。
サブスタンスのUSBを貰って最初は怪しんで電話をしないが、プロデューサーとの会話で若さへの嫉妬と老いていく自分への焦燥感で手を出してしまう演出もすごかった。ここまで男性を見にくく描いてルッキズムへの嫌悪感を煽ることが出来るのかっていうくらい不快な振る舞いが多かった。劇中で出てくる男で元同級性の電話番号を渡してきた男性以外、女性を若さと見た目で評価しているのが露骨に描かれていて不快感が強かった。そのせいでスーの行動に説得力があった。
スーの若さに取り付かれるようになってからは段々エリザベスの見た目が崩壊していって段々デイヴィッド・クローネンバーグ監督作品のような自分の見た目が変容していく恐怖が描かれていて怖かった。
最後は本当にクローネンバーグ監督作品のヴィデオドロームみたいになって特殊メイクもすごかったけど幻覚か現実かわからないような演出もそのままヴィデオドロームみたいだった。
最後、自分のスターのプレートの上で星空を眺めてスノードームの中で輝く過去の自分と重ねながら体が解けて清掃の人に普通のゴミの様に掃除されるのがオチとしてすごく好きだった。